1-4.鑑定書に関して
(1)鑑別書と鑑定書について
宝石が天然石であるかを判別するものが鑑別書、ダイヤモンドのグレードを判定するものが 鑑定書です。ジュエリー・ショップがどこの鑑定機関の鑑定書を添付するかをチェックしましょう。
(2)鑑定機関の現状
鑑定機関といえども民間の企業です。宝石商にとりましては鑑定機関に持ち込んだ石が 高い評価を得る方が有り難いのです。
したがって、鑑定機関により鑑定結果に差が生まれることが少なからず発生します。分かりやすく 言うとAという鑑定機関でEカラーと鑑定されたものが、Bという鑑定機関ではDカラーという鑑定結果 を得た、というようなことがあります。また、鑑定とは人の目で行うものなのです。 各鑑定機関にはマスター・ストーンと呼ばれる鑑定の基準となる石があり、 マスター・ストーンと鑑定すべき石を並べて比較をしてグレードの決定を 行います。したがって、ここでも鑑定士の個人差により、結果がずれる場合もあります。 極端に言うと、同じ鑑定機関でも異なる結果が出ることがあり得る、ということです。
(3)カラー・グレードに付記される「認定番号」について
それでも最近は多少その点が改善されて異なる鑑定機関の間においてカラー・グレードに差が 生まれることはユーザーからのクレームの対象になりかねないこと から、各鑑定機関とも特にカラー・グレードに関しては共通の鑑定基準を設け、そしてその共通の鑑定 基準により判定されたカラー・グレードには「認定番号」なるものを付記することになりました。
(4)安心できる鑑定機関
安心できる鑑定機関としては
●中央宝石研究所 http://www.cgl.co.jp・・・ダイヤモンドの鑑定の権威ある機関
●全国宝石学協会・・・カラーストーンの鑑別の権威ある機関
などが挙げられます。この両鑑定機関はシビアな鑑定を行いますので、他の鑑定機関に石を持ち込んでも グレードが高く鑑定されることはあっても、低く見られることはありません。
また、上記の認定番号がカラー・グレードの項に付記されている鑑定機関も安心と考えて良いでしょう。
(5)注意すべき鑑定書
注意すべき点といたしましては、よほど名前の通っているブランド以外のジュエリー・ショップで自社発行の 鑑定書を添付している場合です。この場合は他店の同じグレードの石と比較しながら充分見極めた上での 購入決定が望ましいと考えられます。また、上記の「認定番号」が付記されていないものに関しても 注意を払ったほうが良い、と思われます。
(6)ハート・アンド・キューピッド及びトリプル・エクセレントについて
ハート・アンド・キューピッド ハート・アンド・キューピッドとはカット評価がエクセレントの石の中でも特に対称性の優れた 石に与えられる称号で、鑑定書に下記の写真のような、ダイヤモンドを仰向けの状態にして下から 光を照射することにより、「矢」の形を、そしてうつ伏せの状態にして下から光を照射することにより、 「ハート」の形を呈することから、この名称が付けられました。
トリプル・エクセレント カット・評価は「対照性」と「研磨状態」という二つの要素の判定により決定されます。 上記の二つの要素がともにエクセレントである結果、最終的なカット・評価が「エクセレント」と いう結果になった場合をトリプル・エクセレントと呼びます。トリプル・エクセレントであれば、 それはイコール「ハート・アンド・キューピッド」であるとご理解下さい。
弊社におきましてはダイヤモンドの鑑定は中央宝石研究所、カラー・ストーンの 鑑別は全国宝石学協会発行のものを添付させて頂いております。